科学と発酵と音楽

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三島由紀夫と宇宙

あなたの隣人はもしかしたら宇宙人かもしれません。

突拍子のないことだと思われたでしょうか。

実はそれほど非現実的なことではないのかも。

天文学や宇宙探索に関わる多くの研究者たちが、

地球外知的生命の存在について肯定的です。

もし、数多の星に地球人よりも優れた生命が存在したら。

もし、そのうち一部の宇宙人が地球人として偽装していたら。

そんな妄想に取りつかれた文豪がいます。

それが三島由紀夫です。

 

三島由紀夫が宇宙人について書いた本を紹介します。

三島由紀夫についてみなさんどんなイメージを持ちますか。

金閣寺」や「潮騒」など、教科書に出てきますが、

理屈っぽくて多くの人が途中で投げ出す本選手権優勝候補、

ではないでしょうか。

そんな三島由紀夫の唯一のエンタメSF小説が、「美しい星」という作品になります。

4人家族の話がメインになりますが、4人全員が違う星から来た宇宙人、

ということになっています。この時点で私は文章を二度見しました。

極めて世俗的な生活の中で、この宇宙人家族は崇高な意識を保ち続けます。

そう、それはもう滑稽なほどに。

見どころは、4人家族のお父さんと、違う銀河から来たという、

黒いスーツの男(メン・イン・ブラック)との壮絶な議論場面です。

黒いスーツの男は、地球人はバカだから我々が引き上げるのだ、と言い、

お父さんは、いや地球人は誇りをもって自ら向上するのだ、という感じで…

はいごめんなさい、長いので私は斜め読みしました。

 

この小説、読んでも読んでも彼らが確実に宇宙人である描写は出てこないのです。

なので、途中でこの本を投げ出した人は、この家族を、

「自分たちを宇宙人だと思い込んでいるいるイタい人たち」

という印象を持たれると思います。

それはおそらく三島由紀夫が意識的に行ったことだろうと思います。

時代背景として、UFOを呼ぶための会合などが行われ、

その中で周りに人が集まってくるような、有名な人も多かったようです。

そんな人たちを主人公たちと重ねての執筆となっていたことでしょう。

当時はUFOを楽しむことが、文化人の嗜みとなっており、

星新一などはかなり熱心な活動をしていたようです。

現実ではUFOが来ることはなかなかなかったでしょうが、

三島由紀夫はこのような世相をどのように見ていたのでしょうか。

 

私はこの小説をエンタメSF小説と紹介しました。

家長としての威厳を取り戻すために父が起こした行動とは。

そしてクライマックス、4人の家族が見たものとは。

ぜひ最後まで読んでいただきたいと思います。